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【読書レビュー】草間彌生『水玉の履歴書』|水玉と同化し、水玉に自らの魂を投影させた芸術家

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先日初めてAmazon欲しいものリストからプレゼントを頂きました。そのプレゼントがこちら、草間彌生『水玉の履歴書(集英社新書)』でございます。夢中になって、あっという間に読んでしまったので、レビューや感想を書いてみたいと思います。

初のサプライズプレゼントに驚いた様子はこちら↓

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草間彌生『水玉の履歴書』

専門用語も少なく、とても読みやすい

『水玉の履歴書』は、草間彌生へのインタビューをベースに構成されていて、ところどころに挿絵(草間作品の写真など)、コラム、これまでの草間彌生の名言などが挟み込まれています。雑誌みたいな構成なんですね。そのためとっても読みやすく、本をあまり読まない人、現代アートをあまり知らない人、草間彌生の南瓜をちょっと知っているくらいの人でも、サラサラと読み進められます。

水玉に象徴される彼女の思想が見えてくる

「自己消滅」は長い年月の創作のなかで私が一番興味を持っているテーマです。たとえば、身体じゅうに水玉をつけて、周りの環境もすべて水玉模様にしてしまう。このように同じ物をどんどん作り続けることで、自分自身の存在がその表現の中に埋没してしまう。それがセルフ・オブリタゲーション(自己消滅)なのです。 ー『水玉の履歴書』p.27 よりー

彼女にとって水玉は、単なるポップなかわいい模様ではなく、無限に増殖していく存在。その中に自己を埋没し消滅させることによって、自分も無限の存在へと発展していく。草間彌生は「無限」に対して強い憧れを抱き、無限に広がる宇宙にも強い関心を抱いています。

80を過ぎた今でも宇宙について、更には政治や社会についての本を常に読んでいるそうです。もはや彼女のパワーと好奇心が本当に無限!

とにもかくにも水玉は、自己や作品そのものが憧れの存在である永遠や無限に昇華するための表現なわけです。

作品の力強さ、生命力の秘密

億万後年の彼方の宇宙の果てまでも、私の芸術で埋め尽くしたい。まだ見ぬ地球上のあらゆる人に、私の作品を見てもらいたい。そうした希望で私の心は燃えているのです。 ー『水玉の履歴書』p.145 よりー 

愛とは何か?生とは何か?死とは何か?彼女は常に問い続け、芸術活動はその闘いそのものとも言えます。あぁ、そうか、私が彼女の作品を見てエネルギーを貰えるのは、作品にそんな彼女の闘争心が宿ってるからなのだろうなと、改めて納得できました。

肉体は、いつか生命が耐えるという自然界の定めによって死体となります。けれども私が作った数々の作品は、全世界の人へのメッセージとなって残り、人格を持ってひとり歩きを始めます。 ー『水玉の履歴書』p.152 よりー

まさに彼女の芸術に対するパワーと情熱が、作品の生命として宿っている。そのパワーが水玉や編みとして無限に増殖し、鑑賞者である私たちを捉える。作品のパワーに同化する・・・と言ったらおおげさかもしれないけど、彼女の作品がもつ魅力ってそういうところにあるんじゃないかなと思いました。

こんな人にオススメ!

草間彌生の作品や南瓜が好きな方

草間弥生大好き!かわいい!写真をインスタに上げたい!っていう女性の方は沢山いると思います。でも、もう一歩踏み込んで、なんで草間弥生はこんなに南瓜のオブジェを作るんだろう?どうやって水玉に辿り着いたんだろう?を知りたい人にオススメです。作品鑑賞がもっと楽しくなるはず。

彼女に誘われて、仕方なく草間弥生展や直島に行くという方

こういう人、結構いるんじゃないかな〜と想像して書いてみました(笑)。何がかわいいのかよく分からんって方も、草間彌生の生い立ちや芸術への情熱、政治や社会への考え方について少し知識を入れておけば、それなりに楽しめるはず。ただし、あんまり知識を披露して、彼女から引かれないように注意は必要です。

草間彌生の情熱・強さに触れたい方、自分の生き方について考えたい方

この新書が発売されたとき、草間彌生は84歳。84歳の方が語っているとは思えないとても力強い言葉がたくさん並んでいます。自分の信念をもって生きる、信念に基づいて行動する、ってこういうことなんだなぁと考えさせられます。自分の人生も改めて見つめ直す、良いきっかけになるので、何かに行き詰まっている方・新しいことを始めたい方なんかにもオススメの一冊です。