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Amazon欲しいものリストで頂いた【草間彌生『無限の網』】の読書レビューだよ

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大変長らくお待たせ致しましたが、ちょうど2週間前にAmazon欲しいものリストからプレゼントを頂いた本、草間彌生『無限の網ー草間彌生自伝(新潮社)』の読書レビューを投稿したいと思います。

あと関係ないけどアイキャッチ画像が、久々に気に入ったのができた!ちょっと気持ち悪いけど草間彌生感が出てて良いでしょ?あとちょっとハロウィンっぽいし(笑)。

(※この先Google警告回避のため、一部表現を少し加工しております)

 

▼ちなみに届いたときの感激の様子はこちら。贈主様はまだ不明・・・! 

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草間彌生と自己消滅(セルフ・オブリタレーション)

草間彌生『水玉の履歴書』の読書レビューにも書いたけれど、彼女の芸術のテーマの一つは自己消滅(セルフ・オブリタレーション)。それは結果として「永遠」とか「無限」というテーマにも繋がっていくんだけど、彼女の「自己消滅」のきっかけは、そんなポジティブなものではなく、幼少期からの恐怖心だった。

彼女は幼い頃から幻聴や幻覚が見えていて、精神疾患を煩っていた(当時はそんな言葉は無かったみたいだけど)。原因は両親の不和や諍いで、彼女は絵を描くことで精神の落ち着き何とか保っていた。

ある日、机の上の赤い花模様のテーブルクロスを見た後、目を天井に移すと、一面に、窓ガラスにも柱にも同じ赤い花の形が張り付いている。部屋じゅう、身体じゅう、全宇宙が赤い花の形で埋めつくされていて、ついに私は消滅してしまう。(草間彌生『無限の網』p.70より)

面白いことに、この恐怖が後に彼女の芸術の原点となるのだ。

身体じゅうに水玉をつける。バックもすべて水玉模様にしてしまう。それがセルフ・オブリタレーション(自己消滅)。

彼女にとって、セクスや男性機は恐怖そのものだった(幼少期にその現場を目撃した経験に起因するそう。しかもおそらく父親と母親以外の女性だと思われる)。

だから、恐怖の対象をいーーっぱい作って、増殖させて、その真ん中に寝転ぶ。と、不思議なことに恐怖の対象はユニークでおかしなものに変わるのだそうだ。自分もその中に同化することで、周囲も自分も消滅する。おそらくそうやって、彼女は恐怖やコンプレックスを消滅させ、それが彼女にとっての芸術表現そのものということだ。(▶ 参考「フォトコラージュ ソフトスカルプチュア「集積No2」(1962年制作)に横たわる草間」

なるほど、永遠に増殖して消滅するっていうメタファーは、ただ単に「無限」「宇宙的なもの」への憧れってわけじゃないんだ。というか、恐怖の対象を作り続けるっていう思想と精神に、凄まじいエネルギーを感じる・・・。

 

草間彌生と性

で、ここからが面白いと言うか、皮肉なんですが、彼女は1965~1974年のニューヨークで「ハプニング」と呼ばれるパフォーマンスをします。自然回帰・人間回帰を掲げるヒッピーの青年男女と行うパフォーマンス。簡単に言うと路上や公共の場での、乱こーパーティーです。たくさんの男女がパフォーマンスする中を、草間彌生が水玉のボディペインティングをしていく。

え?どうしてそうなった?というと、彼女曰く

餓えや犯罪が戦争につながるように、セックスの抑圧も、人間の本当の姿を押し曲げ、人間を戦争に駆り立てる遠因になっている。(草間彌生『無限の網』より)

とのこと。いやぁ、それを言っちゃ現在の日本ってセクスレスが深刻って言うし、草食系男子とかも増えて来てるらしいから、結構ヤバくないですか?世界で一番、戦争起こる確率高くないですか?(笑)

個人としての私自信は、マ薬にもセクスにも、まったく興味がない。だから私は恣意的に、私のグループの者たちと一線を画していた。ー中略ー 私は彼らのだれとも、けっしてセクスはしなかった。(草間彌生『無限の網』p.117-118より)

恐怖の対象=セクスを作って作って増殖させて・・・っていうのは論理的に分かるんだけど、そこは自分も中に入ってセルフ・オブリタレーションじゃないのかーいっ!!!ってゲスな突っ込みを入れつつ、やっぱぶっ飛んでるなぁと思う。

でもこの「ハプニング」は、当時のニューヨークやヨーロッパで一大旋風も巻き起こし(逮捕もされたらしいが)、後にアメリカの影響を与えた人物として『WHO'S WHO』にも掲載される。

 

草間彌生とカボチャ

このままでは、草間彌生のカボチャのオブジェと共に自撮りし、インスタにアップする女子たちの気持ちをどこへ持って行ったら良いのか分からないので、カボチャの話もしておきます(笑)。まあ他にも彼女がお世話になった人の話とか書いてあるんだけど、「ハプニング」の話が強過ぎてほとんど印象に残らず・・・。

草間彌生とカボチャの出会いは19歳。京都の美術学校に通うようになった頃のこと。この頃からもう、カボチャをたくさん描いていたという。

カボチャ目鼻とくれば、ずんぐりした不美人の形容。どうやら、カボチャはそんなに良くは思われていないらしい。でも、何とも愛嬌のある形をしたカボチャに私は魅せられた。私がカボチャに造形的興味を受けたのは、その太っ腹の飾らぬ容貌なのだ・そして。たくましい精神的力強さだった。(草間彌生『無限の網』p.77より)

これはなんとなく分かりますね。

草間彌生の南瓜のオブジェが「可愛い」まさに由縁だと思います。というか、カボチャがなければ、もしかしたら彼女の日本における成功って難しかったんじゃないかな。だって、「ハプニング」の部分って、どの個展でもほとんど封印されているじゃないですか・・・。↓ このときも確か「無数の突起物」って表現されてたぜ。

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でもふと・・・もしも彼女のオブジェや作品を見た日本の健康男子は、その後の興奮率が◯%上昇する・・・なんて調査結果が実際に出たら面白いですよね!?ちゃんと(彼女が言うところの)平和にマジで貢献してるやん!?みたいな。

 

おわりに

ということで、『無限の網ー草間彌生自伝(新潮社)』草間彌生のぶっ飛んだ、それでいてやっぱり力強くてパワーみなぎる思想とこれまでの芸術活動が、彼女自身の言葉で書かれている本でした。自分の活動に自信をすごく持っていて、単純に「この人やっぱすごいな」と思う。

「パフォーマンス」のくだりとか、アートや芸術に興味ない方でも、肩に力を入れずに読めるので、一人の女性アーティストの生き様として読む価値ありです!

 

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